遺言には次の四つの種類があります。
①公正証書遺言 公証人に依頼して作成してもらう遺言 ②自筆証書遺言 自筆によって遺言したもの
③秘密証書遺言 はじめから密封した遺言を公証人に提出して自分の遺言だという確認だけを受ける方式の遺言
④特別な方式の遺言 病気で死亡の危機が迫ったときや遭難などの危急の際の簡単な方式でする遺言
このうち主なものである①公正証書遺言と②自筆証書遺言の長所と短所について見ていきます。
不動産をお持ちの方は、公正証書にされておくと安心です。
①公正証書遺言
《長所》
・公証人が形式面だけではなく、内容面まで見てくれるので法律上の争いになることが少ない。
・遺言が遺留分を侵害していないかチェックしてもらえる。
・公正証書遺言の有無を全国の公証役場に照会して調べてもらえる。
・本人の死亡後、家庭裁判所における検認が必要なくなる。
《短所》
・公証役場で遺言書を作ると、少なくとも5万円の手数料が掛かる。
・証人二人以上の立ち合いが必要。
・自分で作成しようとすると、戸籍謄本、不動産の登記簿謄本等の収集が必要となる。
②自筆証書遺言(法務局での保管制度を利用した場合)
《長所》
・費用が安い。(保管申請料は、1通につき3,900円です。)
・家庭裁判所における検認が必要なくなる。
・紛失したり、偽造されたりする危険がない。
・日付や署名の抜け、訂正方法の誤りなどをチェックしてもらえる。
・通知によって遺言書の存在を遺言者が指定した相続人等に知らせてもらえる。
・自筆証書遺言書が保管されているかどうかの確認ができる。
・全国どこの法務局(遺言書保管所)においても閲覧が可能。
《短所》
・法務局で見てくれるのは形式面だけで、内容面は見てくれない。したがって、後になって遺産相続争いが起こる恐れがある。特に不動産の相続の場合、気を付ける必要がある。
・財産目録を除いて、パソコンで書かれたものは無効となる。