離婚・豆知識

①離婚すると元妻の戸籍はどうなるか?

夫の鈴木姓を称していた後に協議離婚し、婚姻前の姓に戻った田中さんの例を見てみましょう。
鈴木さん(夫) 田中さん(妻)
夫の戸籍の記載を見ます。
(夫の欄)「○年〇月〇日妻○○子と協議離婚届出」と記載される。
(妻の欄)「○年〇月〇日夫✕✕男と協議離婚届出同日戸籍法77条の2の届出〇県〇市...に新戸籍編成につき除籍」と記載される
妻の名前がバツ印により抹消される。

妻は婚姻中に称していた姓を名乗ることもできます。
戸籍法77条の2の届出⇒「離婚の際に称していた氏(うじ)を称する届出」を提出する場合
(妻について)記載された本籍地(婚姻前の本籍地)に妻だけの単独の新戸籍が編成される。

婚姻前の姓に戻る場合も見ておきましょう。
(ア)妻が婚姻前の父の戸籍などに戻る場合
(妻の欄)「〇県〇市...田中○○戸籍に入籍につき除籍」と記載される。
(イ)妻が復氏したうえで単独の新戸籍を作る場合
(妻の欄)「〇県〇市...に新戸籍編成につき除籍」と記載される。

※妻の氏について
(原則) 離婚により婚姻前の氏に戻る。
(例外)①婚姻中の氏を称することができる。
    ⇒離婚成立の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届出」をすることが必要
    ②離婚で復氏(旧姓に戻ること)したのに離婚の時から3か月以内に①の手続きをしなかったが、やはり婚姻     中の氏を称したいという場合
    ⇒ 家庭裁判所で「氏の変更の許可の家事審判」の申立てをする。

②離婚すると子どもの氏(うじ)はどうなるか?

婚姻中鈴木と名乗っていた妻が離婚により旧姓の田中に戻ることになったとしても、子どもは夫の戸籍に残ったままであり、当然には母と一緒に母の戸籍に載ることはありません。
田中に戻った母が子どもの氏を自分と同じにして自分の戸籍に入れたい場合は、母が親権者となっていれば家庭裁判所に「子の氏の変更許可の審判」の申立てをすることができます。
就学中の子どもがいる場合には、変えたほうがいいかどうかの判断が必要です

③財産分与

財産分与とは何か

夫婦間で築いた財産の精算

 

  • 離婚により生活が困窮する者への扶養の意味もある。
  • 離婚原因を作った者からも請求できる。
  • 離婚後も2年以内なら請求できる。

 財産分与は夫婦の共有財産を分け合うというのが基本的考え方です。
 固有財産(結婚前からの財産、結婚中に相続した財産)は財産分与の対象外です。
 ところで、結婚以前からの一方の財産(または一方だけの相続財産)は二人で築いた財産とは言えませんが、これも考慮に加えます。財産分与には、離婚後の相手方の扶養という意味合いもあるからです。
 妻が専業主婦であったという場合も、夫婦としての存在自体が貢献であり、その意味で財産分与の対象になります。ただし、二分の一という意味ではありません。財産分与額は事情によって異なります。

④慰謝料

 離婚するからといって、夫が妻に必ず慰謝料を払う訳ではありません。慰謝料というのは、精神的損害に対する損害賠償のことであり、加害者つまり損害を与えた者が被害者に対して支払うお詫び料だからです。
 ※財産分与が行われても慰謝料は請求できます。
  裁判所は財産分与は「夫婦が結婚中に築いた財産の精算」であり、慰謝料は「離婚について有責配偶者に対する損害賠償」として、別々のものとしています。

 

【離婚の慰謝料】
離婚原因         夫→離婚←妻
・作った側 ⇒ 支払業務
・どちらにもない、どちらにもある ⇒ 支払い義務はない

 

慰謝料請求の流れ

話合い     ⇒ 合意成立 公正証書の作成 ⇒ 強制執行手続
↓ 合意不成立
調停申立て    ・慰謝料請求調停申立書

調停        調停成立         ⇒ 強制執行手続    
↓ 調停不成立
  ・審判には移行せず
訴訟提起      請求認容         ⇒ 強制執行手続
↓ 請求棄却
慰謝料支払不可

 

 

 

⑤養育費

[養育費の請求方法・定め方]

 未成熟子がいる夫婦が離婚する場合、未成熟子を監護する者は他方に対して、養育費を請求することができます。
 [養育費]
 お子さんそれぞれについて、金額・支払期間・支払時期などを具体的に決めておきましょう。
①金額
 原則として話し合いで決めることになりますが、その際には裁判所が公表している「養育費算定表」が参考となります。
②支払期間
 支払の始期と終期を決めておきましょう。。
③支払時期
 支払の時期も決めておきましょう。毎月一定の金額を支払う例が多いようです
④その他
 定額の養育費とは別に、特別な出費が生じた場合に、どのように父母が負担するのか定めておくとよいでしょう。

 

⑥面会交流

面会交流の取り決めについて

[面会交流とは]

 「面会交流」とは、子どもと離れて暮らしているお父さんやお母さんが子どもと定期的、継続的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。
 離婚によって夫婦は他人になっても、子どもにとっては父母はともにかけがえなない存在です。面会交流は、そんな子どものために行うものです。

[取り決めについて]

 面会交流は子どもの健やかな成長のためにとても大切なことであり、子どもにとって望ましい面会交流を行うためには、父母の双方の協力が欠かせません。夫と妻という関係から子どもの父と母と言いう立場に気持ちを切り替え、子どもの親同士というパートナーとして協力しましょう。
 面会交流の取り決めは、後日その取り決めの有無や内容について紛争が生じないように、書面に残しておくようにしましょう。
 取り決めを守って安定した交流を行うことに加え、状況に応じてお互いに話し合い、協力し合いなが
ら、子どもにとってもっともよい面会交流を行っていくことが大切です。
 なお、話し合いができないときは家庭裁判所に調停又は審判を申し立てることができます。

 

「子供の養育に関する合意書」について

「子供の養育に関する合意書」は、お子さんの「養育費」及び「面会交流」について父母がお互いの約束事を証明する文書です。2通作成し、双方で一通ずつ保管してください。この文書は、離婚届を出す際に、提出しなければならない文書ではありませんが、お子さんのためにも、できる限り作成するようにしてください。